札幌市清田区のうすだ動物病院の診療対象動物は犬、猫、ウサギ、ハムスターです。

うすだ動物病院

◎受付時間 9:00~12:00/16:00~18:30 (土曜日 9:00~13:00)
◎休診日 日・祝日、土曜日の午後

011-881-6996

症例紹介

前回、新型コロナウイルス感染症について、2020年2月11日時点の情報をHPに掲載しました。

 

これに関して、北海道獣医師会から続報が出ています(http://www.hokkaido-juishikai.jp/info/%e7%b6%9a%e5%a0%b1%ef%bc%9a%e9%a6%99%e6%b8%af%e3%81%a7%e7%8a%ac%e3%81%8c%e6%96%b0%e5%http://www.hokkaido-juishikai.jp/info/%e7%b6%9a%e5%a0%b1%ef%bc%9a%e9%a6%99%e6%b8%af%e3%81%a7%e7%8a%ac%e3%81%8c%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%82%a6%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%82%b9%e6%84%9f%e6%9f%93%ef%bc%88%e9%85%aa%e8%be%b2/9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%82%a6%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%82%b9%e6%84%9f%e6%9f%93%ef%bc%88%e9%85%aa%e8%be%b2/ )ので、概要をご紹介します。

 

「2020年2 月 28 日に香港で新型コロナウイルス感染症(COVID19)に罹患した患者のイヌから低レベルの陽性反応があったということです。これは、新型コロナウイルスがイヌに低レベルで感染し、ヒトからイヌへ伝播する可能性を示すものです。ただし、イヌの状況に関する詳細な報告は出されておらず、また 1 例の弱い感染の報告であることから、無用に心配する段階ではないと思います。」

 

・感染した犬は、どのような症状を示すのか

・犬以外にも猫やその他の動物にも感染する可能性はあるのか

 

など、まだ解明されていないことばかりで、今後の報告が待たれます。

しかし、今、我々ができることは、動物(ペット)と接触した後は石鹸またはアルコール系消毒薬で手を良く洗うこと、そして、動物(ペット)の健康状態に何らかの変化がある場合は、獣医師 からの適切なアドバイスをできるだけ早くに求めていただくことかと思います。また、万が一、ヒトが新型コロナウイルス感染症に感染した場合には、ヒトだけではなく動物(ペット)との接触も避ける必要があるかと思います。

 

当院でも、病院スタッフの手洗い・消毒や院内の清掃・除菌を徹底する、という以前から実施している当たり前のことをきちんと行い、患者様の不安をできるだけ解消できるよう、心がけてまいります。

また、新型コロナウイルスにかかった人が近くにいる場合に、動物(ペット)が病気になったら、まず動物病院に電話をして、動物(ペット)が新型コロナウイルスにかかった人と接触した可能性があることをお伝えいただきますよう、お願い申し上げます。

 

ご不安・ご不明な点等ございましたら、病院スタッフまでお声がけください。

 

一日も早く、新型コロナウイルス感染症が収束しますように。

 

2020年3月7日更新

感染拡大が危惧されている新型コロナウイルス感染症について、様々な心配や不安をお持ちのことと思います。まだ解明されていないことが多々あり、様々な情報が出回っていますが、北海道獣医師会が獣医師の立場から、動物と飼い主様に関する現時点(2020211日)での見解を発表しました(http://www.hokkaido-juishikai.jp/info/%e5%8c%97%e6%b5%b7%e9%81%93%e7%8d%a3%e5%8c%bb%e5%b8%ab%e4%bc%9a%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b%ef%bc%88%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%82%a6%e3%82%a3/)ので、その概略をお伝えいたします。

 

Q:新型コロナウイルスは動物(ペット)に感染しますか?

A:以前から、犬や猫にもコロナウイルス感染症はありますが、それは動物種独特のものであり、種を超えてヒトに感染しません。今回の新型コロナウイルス(2019n-CoV新型コロナウイルス)は、これまでの報告では、ヒトの間でのみ伝染します。

 

Q:万が一、飼い主様が新型コロナウイルスに感染した場合、動物(ペット)との接触は避けた方がいいですか?

A:これまで、新型コロナウイルスが動物に感染した報告はありません。しかし、ウイルスは、まれに突然変異を起こし、変化します。その場合は、動物とヒトとの間で感染する可能性はあります。詳細がわかるまでは、動物との接触を避け、マスクをつけてください。

 

Q:新型コロナウイルスにかかった人が近くにいる場合に、動物(ペット)が病気になったらどうしたらいいですか?

A:まず動物病院に電話をして、動物(ペット)が新型コロナウイルスにかかった人と接触した可能性があることを伝えてください。病院スタッフと話す前に、直接動物病院に動物を連れて行かないよう、お願い申し上げます。

 

現在、動物(ペット)が新型コロナウイルスに感染するという科学的根拠はありません。しかし、動物(ペット)と触れ合った後に石鹸と水で手を洗うことは他の感染症予防の観点からも、常に推奨されています

 

不安が続く状況下ではありますが、正しい知識を得て、正しく恐れ、冷静に行動していただきますよう、お願い申し上げます。

 

今後も、最新の情報が入りましたら、こちらでお知らせしたいと思います。

 

2020年3月1日更新

獣医師が病気についてお伝えするコラムです。

前回はマダニ予防についてのお話をしました。

今回は、もう少し詳しく、マダニ媒介感染症についてです。

あまり聞きなれない病気かもしれませんが、人も動物もかかる人獣共通感染症なので注意が必要です。

マダニが媒介する病気はたくさんあります。そのなかでも、この数年で明らかになってきた感染症についてご紹介します。札幌でも報告されている感染症もあるので、注意しましょう!

 

*ダニ媒介性脳炎(TBE)について

ウイルスが原因で、人に重篤な脳炎を起こす感染症です。1990年代前半まで国内には存在しないと考えられてきましたが、1993年に函館にて国内で初めての感染報告があり、その後2018年までに北海道内で3~5例ほど報告されています。北海道大学では、動物(犬・馬・野ネズミ・アライグマ)を対象に、このウイルス抗体の保有状況を調査してきており、道内の広い地域で抗体陽性の動物が多く生息していることがわかっています(抗体陽性=このウイルスにかかったことがあるという指標になります)。また、道外でも西日本を中心に抗体陽性の野生動物が検出されており、現在、これらのウイルスの流行巣が存在している可能性が高いといわれています。

 

*重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について

ニュースでも話題になっていたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年に新種のウイルスによる“新興感染症”として報告された感染症です。人に感染すると、高熱や嘔吐・下痢、血小板・リンパ球の減少などの症状がみられ、致死率も高いといわれています。

SFTSは、多くの動物では不顕性感染(感染していても症状がないこと)すると考えられてきましたが、2017年に犬や猫、チーター(動物園)で発症することが確認されました。とくに、猫では、発症すると致死率も高いと考えられています。

SFTSの発生は2019年8月15日現在、北海道内では確認されていませんが、SFTSのウイルスを持っているマダニは北海道内で検出されています。いつ、どこからウイルスに出会ってしまうかは、誰にもわかりません。日ごろから、マダニの予防に努めましょう!

 

マダニ予防のまとめ

*マダニから人・犬・猫にかかる感染症が多くあります

*マダニが活発に活動する春・秋は特に気をつけましょう

*ワンちゃん・ネコちゃんに予防薬を使いましょう

*お散歩コースに気をつけましょう

*マダニがついているのを見つけても、触らずに病院に行きましょう

 

2019年9月13日更新

獣医師が病気についてお伝えするコラムです。

今回は、マダニ予防についてです。

北海道は涼しくなってきて、いよいよ秋到来ですね。

春先からお勧めしているマダニ予防ですが、意外に忘れがちなのが、秋の予防です。

そして、秋は人も動物も、吸血昆虫たちも活発になる季節です。

今回はダニについて少し詳しくお伝えしますね。

 

マダニとは?

マダニは、動物や人間の血液を栄養源にして、発育や脱皮、産卵などを行います。草むらに生息し、動物の体に寄生し、吸血、落下、脱皮を繰り返し、成長していきます。体に付着後、吸血行動が始まり、数日から数週間かけて約200倍の体重になるまで吸血します。マダニの活動が活発になるのは、春から秋にかけてですが、特に春と秋に活動が活発になるといわれています。さらに、冬も活動する種類もいます。

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マダニによる被害

1.マダニに刺されることによる直接の被害

・血を吸われることによる貧血

・マダニに刺された部位の皮膚炎

・マダニの口器(くちばし)が皮膚に突き刺さるため、皮膚についたマダニをとる際に、口の部分が残ってしまうことがあります。そうなると、麻酔をかけて皮膚を取り除くことが必要になったり、皮膚に慢性的な炎症を引き起こす可能性もあります。

 

 

 

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上は、マダニに吸血された猫ちゃんの耳の写真です。

 

2.マダニ媒介感染症による被害

吸血によって、マダニは、細菌やウイルスなどの病原体を媒介します。マダニが媒介する感染症としては以下のようなものが報告されています。ほとんどが人獣共通感染症(人にも動物にもかかる感染症)のため、ワンちゃん・ネコちゃんの予防だけでなく、飼い主のみなさまも一緒に予防・対策することが大切です!

 

*犬バベシア症:犬にかかる病気です。かつては西日本でしか発生がありませんでしたが、近年関東以北でも発生しており、重度の貧血などで死に至ることもある怖い病気です。

 

*重症熱性血小板減少症候群(SFTS):ちょっと詳しく後で紹介します

*ダニ媒介性脳炎(TBE):ちょっと詳しく後で紹介します

*ライム病

*ボレリア症

*野兎病

*Q熱

*日本紅斑熱               などがあります。

 

マダニの予防法

ワンちゃん・ネコちゃんの予防~

  1. 予防薬を使う:当院では、スポットオン(首の後ろに垂らす)やチュアブル(おやつのようなお薬)タイプの予防・駆虫薬をお出ししています。気温にもよりますが、4月~10月の間、定期的に予防薬で駆虫します。予防薬といっても、マダニが体につくことを予防するものではなく、マダニが体に付着しても、吸血する前にマダニを駆除するお薬です
  2. お散歩コースや生活のしかたに注意する: マダニは、草むらに生息しているので、お散歩の際にはそういった場所を避けることも有効です。ただ、家の近くの公園やサイクリングロードなど、一見開けたようにみえる道でも、お散歩後にマダニに吸血されて来院したワンちゃんもいました。また、草むらに入った後は、シャワーやブラッシングで体の表面にいるマダニを取り除くことも有効です。とくに、瞼や耳、首など、皮膚のやわらかく薄いところはつきやすいので、よくチェックしてあげてください。

 

※ダニがつかないように予防するためのペット用スプレーや、首輪につけるアイテムがペットショップなどにならんでいます。ただ、動物用医薬品ではないため、効果や安全性についてはわからない部分も多く、当院ではおすすめしていません

 

飼い主さまの予防~

  1. おでかけの服装:腕や首、足など、肌の露出を少なくしましょう。草むらに行くときは首にタオルを巻いたり、ズボンのすそに靴下をかぶせるなどの工夫をしましょう。
  2. 忌避剤(虫除け剤)を使う:現在、マダニへの有効成分としてディートやイカリジンが含まれた忌避剤が市販されています。(あくまで飼い主様用です!!お子様の使用制限などがありますのでご注意ください。)忌避剤は、マダニの付着を減少させるもので、完全に予防できるものではありません。ほかの対策と組み合わせて使用するのがよさそうですね!
  3. 帰ってきたときの対処:服についたマダニをガムテープで取り除いたり、シャワーや入浴で体にマダニがついていないかチェックしましょう。もし、マダニに咬まれていたら、自分で対処なさらず、皮膚科等を受診し適切な処置を受けてください。また、その後数週間は体調の変化に注意し、発熱等の症状がないか注意が必要です。
  4. ワンちゃん・ネコちゃんにマダニがついているのをみつけたら…:素手でさわらず、すぐに動物病院にかかりましょう!無理に自分で取ろうとするとペットの体にマダニの口器(くちばし)が残ってしまうことや、飼い主のみなさんがウイルスや細菌などに感染するリスクがあるので注意してください。
2019年9月13日更新