札幌市清田区のうすだ動物病院の診療対象動物は犬、猫、ウサギ、ハムスターです。

うすだ動物病院

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スタッフ紹介

病気について獣医師が書くコラムです。

今回は猫の慢性腎臓病についてです。当院でも多くのネコちゃんがこの疾患で通院し、治療をがんばっていますので、ご存じの方も多い病気かもしれません。

高齢の猫でよくみられる病気です。現在、動物の慢性腎臓病は、治癒する病気とは考えられておらず、お薬や点滴で症状を緩和して、上手につきあっていくことが大切です。

原因については特定できないことが多いのですが、糖尿病や慢性尿路感染症などの基礎疾患があること、アビシニアン・ペルシャなどの猫種では遺伝的な関与もあるといわれています。また、近年では、「AIM」というタンパク質が関与している可能性もあるといわれてきました。(このお話は個人的に興味深いので、別の項でご紹介します!)

来院されるきっかけとしては、「水をたくさん飲むようになった」「おしっこによくいく」「食欲が落ちて痩せてきた」「吐いてしまうことが多く、元気がない」「口がにおう」などがあります。しかし、実はこの時点で、腎臓はかなり機能が落ちてしまっていることが多いのです…

そもそも腎臓は、体の中でできた代謝産物・毒素を排泄したり、血液や血圧のバランスを整えたりする役割を担っています。腎臓は体の左右に1つずつあり、どこか一部が障害されてしまっても、他の部分が頑張る!といったように、代償機能が高い臓器です。しかし、頑張りすぎるとそのうち疲れて壊れてしまいますよね。しかも、腎臓は頑張り屋なので、相当壊れてしまってからでないと、症状としては現れてこないのです。このように、知らず知らずのうちに数ヶ月から数年かけて、腎臓の機能が障害されていきます。

腎機能の評価は、血液検査・尿検査・血圧測定・画像検査などによって行います。血液検査では、BUN(尿素窒素)・クレアチニンなどの項目が使われてきましたが、最近は、より早期に発見できるマーカーとして、SDMAというものも使われてきています。また、尿中蛋白クレアチニン比(UPC)も早期発見のための指標です。「IRIS」という専門機関では、これらの指標をもとに、慢性腎臓病をステージ分けして治療方針を立てています。

図1

「IRIS」による慢性腎臓病のステージ分類と治療方針(一部改変)

 

治療としては、腎臓への負担を減らすために、タンパク質やリンを制限すること、水を補うことを実施していきます。具体的には、腎臓療法食に切り替え、点滴で脱水を補い、そのときに出ている症状(嘔吐・食欲不振など)を緩和する対症療法を行います。さらに、高血圧は慢性腎臓病の悪化因子となるため、血圧をコントロールすることも重要です。

ずっとつきあっていく病気になるので、ご自宅でしてあげられることもとても重要です。ごはんの切り替えがスムーズにできるように幼少期からドライ・ウェットフード両方に慣らしておく、好きな水の飲み方を知っておく、水を飲む場所を増やしておく、普段からどれくらいのおしっこをしているか・どれくらい水を飲むかを観察しておくなどです。病院に通うことも多くなるので、キャリーケースや病院が怖くないものと教えてあげておくことも大切ですね。

7歳以上になった猫の30~40%は、慢性腎臓病をもっているともいわれています。元気そうに見えても、健康診断などで腎臓の不調を早期発見して、元気に過ごせる時間を増やしてあげましょう!

2019年6月4日更新

6月22日(土)は梅下雄介院長が不在となります。

ご不便をおかけし、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

2019年6月4日更新

病気について、獣医師が書くコラムです。

今回は、暑い季節になると症状が悪化する心臓病のお話です。

 

わんちゃんの心臓病で最も多い病気で、とくに小型犬で多く見られます。

7歳以上の中高齢の犬で多くみられる加齢性の病気と考えられていますが、キャバリアなどの犬種では5歳以下の若齢でも発症することがあります。

僧帽弁というのは、4つある心臓の部屋のうち、左心房・左心室の2部屋の間にある弁のことです。弁は、心臓の動きに合わせて動き、弁が閉じることで、血液の流れが逆流しないようにしています。この弁が厚く変形したり、伸びてしまったりすると、弁のかみ合わせが悪くなり、血流に逆流がみられるようになります

 

発症初期には症状がないことも多いですが、進行すると、心臓の機能が低下し、肺水腫や呼吸困難・失神・ショックに陥ってしまい、大変危険な状態になります。

この病気を発見するきっかけとしては「疲れやすくなった」「呼吸がはやい」「咳が出る」などのサインがあります。しかし、日頃から定期的に、心音を聞くこと、レントゲンや超音波検査をすることで、早くみつけてあげることのできる病気でもあります。

図2図3

左のレントゲン写真は、僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんの心臓が大きくなって、気管という空気の通り道を圧迫している写真です。これにより、咳が出やすい状態になります。通常は黒く写るはずの肺の中が白くなっている部分は肺水腫を起こしている場所です。

 

右の超音波写真の赤い点線部分は僧帽弁で、中央の弁の先端が分厚くなっているのが観察されます。このため、弁がきちんと閉じず、血液の逆流が起こります。

 

治療の目標・目的は、症状の緩和や心不全の進行を少しでも遅らせることです。症状に合わせて、血圧を下げるお薬や強心薬・利尿薬などを飲むことで、心臓への負担を和らげます。おうちでの生活では、ごはんの塩分を控えること、過度な運動は避けること、酸素を吸えるような環境をつくってあげることなどのサポートが必要になってきます。

最近では、循環器の専門病院で、手術による治療を行うこともあります。

心臓病と聞くと「怖い!」と思ってしまうかもしれませんが、定期的な検査やお薬を使って、上手につきあっていけるよう、一緒に頑張りましょう!

 

 

2019年5月9日更新

当院の休診日は日曜・祝日となっておりますが、下記時間は通常診療いたします

4月30日(火)9:00~12:00、16:00~18:30

5月1日(水)9:00~12:00、16:00~18:30

5月2日(木)9:00~13:00

よろしくお願いいたします。

 

2019年4月8日更新

2月15日(金)、16日(土)は学会出席のため院長不在となり、臨時休診とさせていただきます。

ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

2019年1月25日更新